まさか私が告白されるなんて
中ではすでに広告がいくつもやっていた。
その中で、私たちは隣り合って座る。

「私、映画って初めてかも」
「そうなの?」
「うん。知っての通り、貧しいからさ」

一年程度待っての、家のテレビでの地上波視聴が常だ。

だから、こんな大きな画面で見ることなんて無い。
それにスクリーンの中の映像はすでに、テレビで見るものを凌駕している。

広告だけで、ここまですごいのに、映画が始まったら、どれだけ熱中してみることが出来るのだろうか。
既にもうワクワクがいっぱいだ。


「本当に、水菜さんはすごいよ」
「へ?」
「その言い方だと、昔から我慢してきてたんだろ。すごいよ」

確かに私は昔から色々と我慢してきたことがある。
昔からあまり玩具類は買ってもらってなかったしゲームなんてもってのほか。
おしゃれにもお金を使ったこともない。
カットもお母さんのカットで、カット屋さんなんて行ったことが無い。
メイクもしたことが無い。
服も古着屋さんで買った服ばかりだ。

それに私はほとんどお父さんと触れ合ったことが無い。

勿論一般のそんな多少裕福な暮らしに憧れることはあるし、不満なところもある。
でも、今のままでも十分私は幸せだと思う。

だからこそ、私は、こう返す。

「私は、大したことないよ」


私はバイトをそこまで多く入れていない。
本当にすごい人だったら、学校外の時間全てバイト入れるのが良いはずなのだけど。
やっぱり週に三回のバイトでもかなり疲れてしまうのだ。

「そんな謙遜しなくても。……俺だったら贅沢禁止って言われたら困るよ」
「そうだね」

私はもう、慣れているだけなのかも知れない。

「でも、もう慣れたから。だから今日はたまにの贅沢を楽しむよ」

そう言って私は笑顔を作った。
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