愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
 ここはあえて強引な態度に出る。
 押しつけがましいかもしれないが、もとより私の世話焼きな性格は知っているのだから、潔くあきらめてもらうしかない。家族なのだから、遠慮は不要だ。

「いや、まあ」

 入院中の父に話すのもどうかと思ったが、見る限り顔色はよい。それならばと、もうひとつの懸念事項も持ち出した。

「それに、お店のこともあるでしょ? いつまでも休んでいては家賃だって払えなくなるじゃない」

 どうやら図星だったようで、父は口をつぐんだ。

「しばらく、こっちにいるつもりだから。そのあたりについても、おじいちゃんと相談するわ」

 帰ってきてしまったものは仕方がないとでもいうように、父は大きくため息をついた。

「小春、すまない。しばらく世話になる。それから、千隼君にも礼を言わないとな」

 結婚したばかりで千隼さんと離れるのは、私もずいぶんと頭を悩ませた。帰国するべきだという彼の後押しがなかったら、行動に移せていなかった。
 できれば父から、フォローの連絡を入れてもらえるとありがたい。

 それか父に尋ねられるままベルギーの話を聞かせた後に、実家に帰宅した。
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