拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
『ニャー《あのあたりは太陽の加護の強い土地だからな。きっとチビ助は喜ぶだろう》』
 なにを勘違いしているのか、ザイオンがラーラを連れていく前提で語る。
「ん? 行くのは俺たちだけだ」
『ニャッ《なんだと!? 連れてゆかぬのか!?》』
「当たり前だろう。ティーナは侯爵家の令嬢だ。連れていけるわけがあるか。残していくに決まっている」
 なにより、ティーナはうら若い女性で、鍛えている俺とは違い体力も劣る。万が一罹患したら、ひとたまりもないだろう。そんな彼女を、現状で比較的感染拡大が抑えられている安全な場所に置いておきたいと思うのは当然だ。
 ……あぁ、ティーナに会いたいな。
 彼女とは感染拡大の第一報の後、僅かな時間を捻出して顔を会わせたきり。病が蔓延し、その対策に追われるようになってからは、一度も会いに行けていなかった。
 この後も、各地から上がってくる報告の精査を行う予定になっており体が空かない。脳裏に彼女の柔らかな微笑みが切なく思い浮んだ。
『ニャー《うぬぬ、そうであったか》』
< 145 / 307 >

この作品をシェア

pagetop