拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
「ふふふ。誇らしいというなら、ティーナこそよ。泥にまみれて打ち捨てられたボロボロの子猫を手ずから介抱して育てるなんて、なかなかできることじゃないわ。心優しい妹を持てて私は幸せよ」
お姉様が私の腕の中でうとうとと微睡むラーラを見つめて告げた。
「……お姉様」
お姉様はいつだって私が家族の会話の輪に入りやすいように、こんなふうにさりげないフォローをくれた。そんなお姉様の気遣いに触れるたび、私はお姉様のことがもっともっと大好きになる。
「えぇえぇ、マリエンヌの言う通りね。ティーナが優しい子に育ってくれて、お母様は嬉しいわ」
「本当だな。マリエンヌもティーナも、ふたりとも自慢の娘だ」
……侯爵家の体裁を考えれば満足に人前に立つこともできない私が自慢だなんて、そんなことあるはずがないのに。
だけど両親は、十六歳になっても社交界デビューすら果たせていない私をけっして悪く言わない。お母様の『嬉しい』という発言も、お父様が口にした『自慢の娘』という言葉も、たしかに本心からのものなのだ。
お姉様が私の腕の中でうとうとと微睡むラーラを見つめて告げた。
「……お姉様」
お姉様はいつだって私が家族の会話の輪に入りやすいように、こんなふうにさりげないフォローをくれた。そんなお姉様の気遣いに触れるたび、私はお姉様のことがもっともっと大好きになる。
「えぇえぇ、マリエンヌの言う通りね。ティーナが優しい子に育ってくれて、お母様は嬉しいわ」
「本当だな。マリエンヌもティーナも、ふたりとも自慢の娘だ」
……侯爵家の体裁を考えれば満足に人前に立つこともできない私が自慢だなんて、そんなことあるはずがないのに。
だけど両親は、十六歳になっても社交界デビューすら果たせていない私をけっして悪く言わない。お母様の『嬉しい』という発言も、お父様が口にした『自慢の娘』という言葉も、たしかに本心からのものなのだ。