孤独な少女は優しさに堕ちていく。
明日は待ちに待った千景さんと水族館に行く日。

日付は千景さんの予定に合わせて、遅めの11月20日の土曜日。

1週間も前から悩みに悩んでやっと着ていく服を決めた。

少しでも大人っぽく見られたくて、黒と白のモノトーンコーデにした。

でも、家の中は服まみれ。

なぜだか玄関にまで服が飛び散っている。

片っ端から服を抱えてダンスの傍へ運ぶ。

『ピンポーン』

誰かが来たようだ。

玄関に飛び散る服を部屋に放り投げてからドアを開ける。

「やっほー、来たよー」

そこに立っていたのは梨奈だった。

「あ、」

少し前に家に遊びに来る約束をしていたのを忘れていた。

「メッチャ驚いた顔してるよ?忘れてた?(笑)」

「…まぁ、うん」

「入っちゃ駄目な感じ?」

忘れてたのは私なのに入っていいのかちゃんと聞いてくれる。

「すっごい汚いけど、それでも良ければ入っていいよ」

「じゃあ、おじゃましまーす!」

そう言って梨奈は私の家に入っていった。

「わぁお、予想とは違う汚さ。服まみれじゃん」

「あはは…」

苦笑いするしかない。

「どっか行くの?服決めてたんだよね?」

「あ、まぁ、うん」

「え~?おとちゃんがこんなに部屋汚すほど服に悩むって何事?!」

普段だって何も出さないから汚れないだけで、片付けが得意という訳ではない。

「どこ行くの?えっ、もしかして彼氏できた?少なくとも女の子じゃないよね」

「水族館。彼氏じゃないし、……女の子じゃないよ」

梨奈が鋭すぎる。

「えー、どーゆー関係?」

「…。ごめん、言えない。いつかちゃんと言うから」

「そっか。でも最近のおとちゃん、前より明るくて毎日楽しそうだもんね」

予想外にあっさりと引き下がってくれた。

その事に関してはあっさり引き下がってくれたものの、私が1週間かけて選んだ服はものすごいダメ出しをくらった。

「大人っぽくなりたいのは分かるけど、おとちゃんはJKなんだよ!せっかくの!」

とのこと。

そうして梨奈が選んでくれた服は、ほんのり淡いグレーのブラウスにジーンズのミニスカートだった。

足を出しすぎていて子供っぽくなりそうだと思ったけど、梨奈曰く髪型やメイクを大人っぽくすればものすごく変わるらしい。

よく分からないが私が選んだ服よりかわいいことは確かだ。
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