孤独な少女は優しさに堕ちていく。
♢♢♢

「おきてー、朝だよー!」

私は目覚ましが鳴るよりも早く、たたき起こされた。

「ほら、おとちゃん遅刻しちゃうよ!」

なんで梨奈がいるんだろう。

「んー、まだ、大丈夫」

「メイクとか、ちゃんとやるなら時間ないよ!」

そうだ、昨日、私のメイクをしてくれるってことで家に泊まったんだった。

梨奈に促されるまま朝食を食べる。

「とにかく、早く着替えて!」

「はい…」

なんだか梨奈が怖い。

もう従うしかない。

梨奈にされるがままになること約1時間。

鏡に映る自分は普段よりずっときれいで、大人っぽくなっていた。

緩く巻かれた髪に赤く色づいた唇。

黒のブーツを履いて、同じ色の鞄を持ったら完成だ。

「おとちゃんの好きな人に振り向いてもらえるように頑張って!」

出かけ際に梨奈に言われた。

「え?好きな人、じゃ、ない…よ?」

「え?そうなの?でもこんなにおしゃれするぐらいだから、何かしらあるでしょ。…まぁ、頑張って」

好きじゃないと言ったとき、なんだか胸がモヤッとした。

「じゃあ、ばいばい」

「うん、ばいばい」
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