孤独な少女は優しさに堕ちていく。
「とにかく、他の水槽を見に行きましょう」
「…そうだね」
気を取り直して魚たちを見て回る。
無意識に、何度も水槽じゃなくて千景さんを見つめてしまって、そのたびに千景さんと目があった。
千景さんは目が合うたびにふわりと笑ってくれる。
「ッ!」
私が足を止めたのはペンギンがいるプールの目の前だった。
「どうしたの?」
「あ、…何でもないです。止まっちゃってすみません。」
本当は履き慣れないブーツで靴擦れしてしまっていたけど咄嗟に隠してしまった。
「何でもなくないよね?どっか痛い?」
「……ちょっと靴擦れしただけなので大丈夫です」
千景さんは誤魔化されてくれなかった。
「全然大丈夫じゃないじゃん。どこかに座ろうか」
少し考えた千景さんは私をベンチに座らせた。
「どっちの足?」
「どっちも、です」
そして、何も言わずに千景さんは私の前に座って、私の靴を脱がせ始めた。
「自分でやります!汚いですよ!」
「俺がやりたいからいいの」
靴下まで脱がせた千景さんは私の足を軽く持ち上げた。
「めっちゃ痛そうじゃん」
鞄をごそごそあさり始めたと思えば手には2枚の絆創膏が握られていた。
「それぐらい自分でやります!」
絆創膏を私の足に貼ってくれようとした千景さんに言う。
「ここまでやったんだからやらせてよ」
イタズラっぽく微笑んだ千景さんが足から顔をあげてこちらを見た。
なぜたろう、千景さんの顔を直視できない。
みるみるうちに顔が真っ赤になっていく。
今日は赤くなってばかりだ。
私がそんなことをしているうちに千景さんは絆創膏を貼り終えて私の足に靴下を履かせ初めてしまった。
「歩くのも痛いだろうから、もう帰ろうか」
目線は私の足に落としたまま、千景さんはそう聞いてきた。
「…いや、です」
紛れもない本音だった。
「ごめんなさい。なんでもないです」
千景さんの困った顔と直面してしまって、迷惑だったと気づく。
「うーん、じゃあ、あのクレープ食べて帰ろうか」
千景さんの指さす先には小さなクレープの屋台があった。
「…はい」
「俺が買って来るからここで待ってて。何味がいい?」
屋台の看板には色とりどりのクレープが並んでいた。
「…チョコバナナでお願いします」
定番すぎるかと思ったけど、たまには定番もいいだろう。
千景さんが屋台に向かって歩いて行くのをぼーっと眺める。
改めてきれいな顔だな、と思った。
「お待たせ」
帰ってきた千景さんはクレープとコーヒーを持っていた。
「甘いもの、嫌いなんですか?」
「普通、かな」
私にクレープを手渡してくれた。
クレープを口いっぱいに頬張る。
チョコとバナナの相性は良すぎると思う。
「ふふっ、ついてるよ」
千景さんの手が私の顔へ向かってくる。
唇に少しのぬくもりを感じたかと思えば、そのぬくもりはあっという間に離れていった。
唇触れたのは千景さんの親指だろうか。
「甘っ、」
千景さんは私の唇に触れた親指を迷いなく自分の口にいれた。
ちらりと見えた舌がものすごく色っぽくて、ごくりと唾を飲んだ。
「食べないの?」
ニヤリと笑った千景さんが恨めしい。
そんな千景さんにどきどきしてしまう自分も恨めしい。
「食べ、ます!」
ほとんどむきになって答えた。
もう、千景さんの方は見ない。
そんな私だったから、千景さんの悲しみを帯びた表情に気がつかなかったのだろう。
「…そうだね」
気を取り直して魚たちを見て回る。
無意識に、何度も水槽じゃなくて千景さんを見つめてしまって、そのたびに千景さんと目があった。
千景さんは目が合うたびにふわりと笑ってくれる。
「ッ!」
私が足を止めたのはペンギンがいるプールの目の前だった。
「どうしたの?」
「あ、…何でもないです。止まっちゃってすみません。」
本当は履き慣れないブーツで靴擦れしてしまっていたけど咄嗟に隠してしまった。
「何でもなくないよね?どっか痛い?」
「……ちょっと靴擦れしただけなので大丈夫です」
千景さんは誤魔化されてくれなかった。
「全然大丈夫じゃないじゃん。どこかに座ろうか」
少し考えた千景さんは私をベンチに座らせた。
「どっちの足?」
「どっちも、です」
そして、何も言わずに千景さんは私の前に座って、私の靴を脱がせ始めた。
「自分でやります!汚いですよ!」
「俺がやりたいからいいの」
靴下まで脱がせた千景さんは私の足を軽く持ち上げた。
「めっちゃ痛そうじゃん」
鞄をごそごそあさり始めたと思えば手には2枚の絆創膏が握られていた。
「それぐらい自分でやります!」
絆創膏を私の足に貼ってくれようとした千景さんに言う。
「ここまでやったんだからやらせてよ」
イタズラっぽく微笑んだ千景さんが足から顔をあげてこちらを見た。
なぜたろう、千景さんの顔を直視できない。
みるみるうちに顔が真っ赤になっていく。
今日は赤くなってばかりだ。
私がそんなことをしているうちに千景さんは絆創膏を貼り終えて私の足に靴下を履かせ初めてしまった。
「歩くのも痛いだろうから、もう帰ろうか」
目線は私の足に落としたまま、千景さんはそう聞いてきた。
「…いや、です」
紛れもない本音だった。
「ごめんなさい。なんでもないです」
千景さんの困った顔と直面してしまって、迷惑だったと気づく。
「うーん、じゃあ、あのクレープ食べて帰ろうか」
千景さんの指さす先には小さなクレープの屋台があった。
「…はい」
「俺が買って来るからここで待ってて。何味がいい?」
屋台の看板には色とりどりのクレープが並んでいた。
「…チョコバナナでお願いします」
定番すぎるかと思ったけど、たまには定番もいいだろう。
千景さんが屋台に向かって歩いて行くのをぼーっと眺める。
改めてきれいな顔だな、と思った。
「お待たせ」
帰ってきた千景さんはクレープとコーヒーを持っていた。
「甘いもの、嫌いなんですか?」
「普通、かな」
私にクレープを手渡してくれた。
クレープを口いっぱいに頬張る。
チョコとバナナの相性は良すぎると思う。
「ふふっ、ついてるよ」
千景さんの手が私の顔へ向かってくる。
唇に少しのぬくもりを感じたかと思えば、そのぬくもりはあっという間に離れていった。
唇触れたのは千景さんの親指だろうか。
「甘っ、」
千景さんは私の唇に触れた親指を迷いなく自分の口にいれた。
ちらりと見えた舌がものすごく色っぽくて、ごくりと唾を飲んだ。
「食べないの?」
ニヤリと笑った千景さんが恨めしい。
そんな千景さんにどきどきしてしまう自分も恨めしい。
「食べ、ます!」
ほとんどむきになって答えた。
もう、千景さんの方は見ない。
そんな私だったから、千景さんの悲しみを帯びた表情に気がつかなかったのだろう。