孤独な少女は優しさに堕ちていく。
♢♢♢

「ねぇ、最近新しいアイス屋出来たの知ってる?」

「あー、知ってる知ってる、駅前だよね?」

「今日暇だからさ、一緒に行ってくれない?」

放課後、新しくできたアイス屋に梨奈を誘う。

「ごめんね、今日予定あって…」

「そっか…じゃあ仕方ないね。暴走族の仕事?」

「うん、なんか、如月組っていう所のヤクザの組長が変わったらしくて…」

なんだか、私とは違う世界の話だ。

これ以上聞いても分からないので

「総長も大変だね、」

と言って会話を終わらせる。

「ほんっとにごめんね…また今度一緒にいこう。、じゃあ、また明日」

そう言って梨奈は駅とは反対方向へ走って行った。


普段は、2人で乗る電車に今日は1人で乗る。

仕方がないと分かっているけど、少しさみしい。

あっという間についてしまったが、家に帰るのが嫌な私は、図書館で勉強をすることにした。

意味も無く教科書を読んだり、気まぐれに問題を解いたり。

閉館時間ぎりぎりになって、司書の人に声をかけられるまでずっと図書館で過ごした。

コンビニで適当にパンを買って、一人暮らしをするアパートに帰る。

4階建てのこのアパートは築年数は浅いものの、駅から遠いため、家賃が安かった。

でも、両親のお墓が近かったので迷いなくここに引っ越すことを決めた。


特にやりたいことも、やらなくてはいけないこともないので、シャワーを浴びて、さっき買ったばかりのパンを食べて、布団に入ってしまう。

ウトウトと微睡みながらも思い出されるのは今朝会った男性。

名前はなんて言うんだろう。

男性、じゃあ呼びにくい、“かいがらさん″と心の中で呼ぶ分には許してくれるだろうか。

乙葉の意識は眠りのなかに落ちていった。
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