孤独な少女は優しさに堕ちていく。
あの日から、千景さんは時々砂浜に現れるようになった。

だいたい、一週間の半分くらいの朝を一緒に過ごした。

防波堤の隅に三人分くらいの間をあけて、並んで座る。

千景さんが来る時間はバラバラで、私が学校に行く直前に来ることもあれば、私よりも先にいることもあった。

名字も、年齢も、職業も、千景さんのことは名前以外なにも分からない。

聞いてみたいとは思うが、踏み込んではいけないような気がした。

千景さんはもしかしたら危ない人かも知れない。

でも私は千景さんと会うのをやめられなかった。
< 6 / 33 >

この作品をシェア

pagetop