宿り木カフェ


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『おかえり、由香ちゃん』

「ただいま。でも今日は仕事に行ってないの」

『え?』

「というか数日前から会社行ってない。
あ、辞めたんじゃないの。
一応今週末まで休みにしたの」

『何か、あったのかい?』

本当に心配している声に、久しぶりに緊張感が緩む。
こんなにも自分を大人が心配してくれる、それはとても私の心を落ち着かせてくれた。


私はお局に言われたこと、それを言い返せなかったこと、会社で倒れて検査入院したこと、上司から少し休むように言われたことなどを話した。

話しながらヒロさんは、優しい声で相づちを打ってくれた。




『そうか・・・・・・。検査結果は?』

「一応大丈夫だったよ。
血圧低いとか、貧血気味だから食生活きちんとしなさいって言われたけど」

『それは良かった。
食生活に関しては私もメタボだと会社の健康診断で言われたばかりだよ』

「ヒロさんってお腹出てるの?」

『出てるよ。おもいきりおじさんだと思うよ?
由香ちゃん、もしかして何か勝手に格好いいと想像していたんじゃないかい?』

「うん、ダンディーな感じかなって」

『きっと由香ちゃんの想像と現実は相当に乖離していると思うね。
いやぁ想像って良いように変換してくれるものだ、ありがたい』

真面目な声でそんな事を言うヒロさんに、私は笑ってしまった。

あぁ、ヒロさんと話し始めてから私、ちゃんと笑えている。
私はヒロさんに聞いてみることにした。


「疑問なんだけど」

『うん』

「お局は何でわからないのかな。
どうしてあんな酷い事、言うのかな。
きちんと考えてみれば、相手がどう思うかなんて分かると思うのに」


疑問だ。
なんであんなにも身勝手な人間がいるのだろう。


私の投げた質問から少し間があって、そうだなぁ、とヘッドフォンからヒロさんの声がする。
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