宿り木カフェ

「男性がお金を忘れた人はいませんでしたが、私にその場の支払いを少し多めにお願いすることはありました。
その事を口実に再度食事へ誘ってくるんです、次は僕に全て奢らせてと」

「へぇ、それは酷いですね」

そうか、松本さんにとって、そういう手段は嫌な方法なのか。
むしろ駆け引きとして普通じゃないだろうか。

「酷いというか、駆け引きでは普通ですよ。
相手を落としたいのなら、色々な方法を使ってでもトライするものでしょう?」

なんで私が男性目線で話しているんだろう。
けど、そんな私の言葉を聞いて、松本さんは難しい顔をした。

「なるほど。
酷いと思いましたが、確かに結果を出すために考え得る色々な手法を使ってみるのは当然です。
なるほど」

彼は腕を組んで、心底頷いていた。
そして私をじっと見た。

「なら私も色々な手法をとっても良いんですよね?」

「え?良いんじゃないんですか?」

私は思わず首をかしげて答える。

「正直、貴女のような綺麗な人がきて困りました。
でも、とても美味しそうに焼き鳥食べてて、良い人だなと」

え?私の評価はそこなの?!
驚く私をよそ目に、彼はきちんと座り直し顔を引き締めて、

「それで!
あの、他にもお勧めのお店があるんですが、一緒に・・・・・・行きませんか?」

声がどんどん小さくなっていく。
最後は俯いてしまった。

「それは、デートの誘いですか?」

「で、デートで良いですかね?」

「松本さんがはっきりしてください」

私がそう言うと、彼はごくり、とつばを飲み込んだ。

「で、デートで是非!」

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