姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
 翌日、私はクラスメイトの男の子に付き合わないと伝え、二番目の女の子にはならなかった。

 結局雅貴さんのたった一言であっさりとその決断ができたのだから、私の初恋はとても淡いものだったのだろう。

 そんなことがあってしばらく経ったら、自分は本当に浅慮だったなと思えるようになり、それを雅貴さんに笑い話みたいに報告した。

『あのときの私、二番目でもいいかななんて、ちょっと冷静になりなさいって感じでしたよね』

 雅貴さんは苦笑いする。
 
『百花ちゃんは自分の価値を自覚するべきだと思ったよ』

『私の価値?』

『ああ。一番も二番もなく、百花ちゃんだけを好きになる男は絶対にいる』

 断言する雅貴さんに、無意識のうちに心が吸い寄せられた。

『本当ですか……?』

『うん。百花ちゃんは魅力的だから。俺が保証するよ』

 私は魅力的なんかじゃない。容姿も頭脳も姉のほうが優れていて、褒められるのはいつも姉ばかりだ。

 でも雅貴さんがそう言ってくれるなら、信じる。

 本当にうれしかった。そして、猛烈にうらやましくなった。

 雅貴さんの許嫁である姉が。

 私もこんな素敵な人に愛されたい。

 最初はそういう気持ちを持った。そうしていつの間にか、こんな素敵な人に愛されたい、が、雅貴さんに愛されたい、に変わっていったのだ。

 
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