姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
 あれから十年が経った今、もう後戻りはできないくらいに彼を好きになった。

 雅貴さんと姉が破談になった途端、身代わりでもいいから彼の妻になりたいと願ってしまうほどに。

 二番目でもかまわない。私にとって雅貴さんは一番だから。

 こんな私の本音を知ったら、やっぱり愚かな女だなと呆れられるだろう。見限られるかもしれない。

 だから今後も、私が雅貴さんと結婚したのは彼のおじいさまのため。

 彼への恋心は秘密にする。


 結婚披露宴がお開きになり、私と雅貴さん、両親は会場の外でゲストのお見送りをした。

「来てくれて本当にありがとう」

 主賓に続き、友人たちにプチギフトを手渡す。ゲストの人数が多すぎて全員とは話せなかったので、このタイミングでやっと感謝を伝えられた。

「いい結婚式だったね。百花、すごくきれいで、披露宴中ずっと見惚れちゃった。ウエディングドレスも和装も素敵だったよ」

 お色直しは二回し、私は今、長い髪をふんわりと編みおろし、紫陽花みたいな淡いパープルのカラードレスを着ている。

「このカラードレスもお姫様みたいでかわいい」

 友人たちは途切れることなくうれしい言葉をかけてくれた。

「結婚式、とっても楽しかったよ。また後日みんなでゆっくり集まろうね」

 結婚披露宴に時間のゆとりが持てるように、今日は二次会をしない予定にしているのだ。

 「うん、また連絡するね」

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