姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
 瑞季が冗談めかし、わかばは深くうなずく。

「ほんとにそう。雅貴さんみたいに魅力的な人なら、たとえ愛がなくても結婚したいよ。こっちが雅貴さんを好きになるのは確実だし」

 たしかに姉を除いたら、彼ほどの男性に惹かれない女性はいないだろう。どこを取っても完璧な人なのだ。

「そうだね」

 私が同意したら、実結が「でも」と割り込んできた。

「でも?」

「雅貴さんは百花に対して愛があると思ったよ」

「え?」

「百花を見つめる眼差しがとびきり甘かったもの。百花がかわいくてたまらないって感じだった」

 思いがけない言葉をかけられて目を瞬かせる。

「本当……?」

 結婚式の日は平静心を保つのに必死で、雅貴さんの様子を窺う余裕はなかった。そうだとうれしい。でもたぶん実結の勘違いだ。雅貴さんはおとなだからいくらでも上辺を取り繕えるだろうし、胸の内では姉への未練を引きずっているのだと私は思っている。

「実結がいいように解釈してくれただけじゃないかな?」

 やんわりと否定した。すると実結は勢いよくかぶりを振る。

「そんなことないよ。百花と雅貴さん、すっごくお似合いだったよ」

「そうだよ、自信を持って」

「目は口ほどに物を言うのよ」

 瑞季とわかばも加わり、私を盛り立ててくれた。お世辞でもみんなの気持ちがありがたい。

 そのとき不意に、見知った顔がこちらを見ているのに気がついた。

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