姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
「わかば、披露宴の最中も雅貴さんにカメラを向けまくっていたよね」

 実結たちが口々に話す。

「だって雅貴さんってすべてのタイミングが絵になるんだもの。もちろん百花もたくさん撮ってるからね」

 はいっ、プレゼント! とわかばに分厚いスクラップブックを手渡された。

「もうプリントアウトしてアルバムにしてくれたの?」

「うん、張り切っちゃった」

 私と雅貴さんの写真だけじゃなく、ところどころにイラストやメッセージをつけてくれていたり、かわいいシールを貼ってデコレーションしてくれていたりする。どのページもとても丁寧に作られていて、心のこもった贈り物に胸がじんとした。

「ありがとう。めちゃくちゃうれしい。大事にするね」

 これは一生ものの宝物だ。

「喜んでもらえてよかった。全データはあとでスマホに送るね。膨大だから楽しみにしてて」

 私にも送って! と実結と瑞季が声を揃えた。みんなでひとしきりスクラップブックを見て盛り上がる。
 
お酒と食事が進んでも、話題はずっと雅貴さんについてばかりだ。

「百花と雅貴さんのおじいさま同士が勝手に決めた結婚って聞いたときはひどいと思ったけど、正直うらやましすぎたよ」

 ふとわかばがつぶやいた。

「わかる。許嫁なんていつの時代よ、愛がない結婚をさせられるなんて百花がかわいそうって涙したのに、今はそこ代われって心境」

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