姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
「……え?」

「まさか私が追いかけてきたのは謝罪するためだとでも思った? そんなわけないでしょ。どこまでも図々しいわね」

 先ほどまでの瑠奈さんとは別人のように言動が豹変し、いったいどうなっているのか理解できなかった。

 絶句する私を、瑠奈さん罵倒する。

「姉の許嫁を横取りした浅ましい女だって言わなかっただけ感謝してほしいくらいよ」

 横取り……。

 実際は姉に好きな人ができたから雅貴さんとは破談になったのだと伝えても、瑠奈さんにはきっと聞く耳を持ってくれないだろう。それが彼女の本音だったのだ。

 私と雅貴さんの結婚式に出席してくれたほかの人たちも、私をそんなふうに思っていたのだろうか。

 一気に根拠のない妄想に囚われた。

「なによ、その〝いじめられてます〟みたいな悲愴な顔は。イライラするんだけど。雅貴さんは騙せても、私は騙せないからね」

 瑠奈さんは嫌悪感を催し、顔を歪ませる。

「どうしてそんなにも私に敵意を向けるのですか……?」

 ただのいとこの妻に対する感情だとは思えなかった。彼女には雅貴さんへの強い執着があるようだ。

「あのタイミングで雅貴さんのおじいさまが入院しなければ、私が雅貴さんと結婚できていたかもしれないからよ」

「え……? 結婚……?」

「そうよ。おかしい? いとこ同士は結婚できるでしょ」

 たしかにその通りだけれど、考えもしなかった。

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