姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
「そんな話が出ていたのですか?」

「関係ないわ。私が申し出たら、みんな賛成したはずよ」

 ということは、瑠奈さんが勝手にそう計画していただけなのだろう。


「瑠奈さんは雅貴さんが好きなのですか……?」

 震える声で問いかけたら、瑠奈さんは当然とばかりに微笑む。

「子どもの頃からずっと好きよ」

 まさか彼女が雅貴さんに恋愛感情を抱いているなんて。

「雅貴さんの結婚相手があなたの姉なら諦めるつもりでいたけど、あなたなら負ける気がしないわ。あなたより劣っているところがひとつもないもの」

 瑠奈さんは私の耳もとで、皮肉っぽくささやいた。私はなにも言い返せない。

 悔しいけれどそれは事実だ。

「あれ? 瑠奈、いつ来たんだよ? 遅いよ、待ちくたびれた」

 そこへ、同い年くらいの派手な男性がふたりやって来た。

「ごめん、今着いたところ。なかなかタクシーが掴まらなくて」

 「しょうがねえな。瑠奈じゃなきゃ一時間も待てねえからな」

 男性たちは満更でもない表情で両側から瑠奈さんの腰を抱き、連れて行こうとする。会話の内容から、瑠奈さんが友人を待っていたというのは嘘だとわかった。私に近づく口実だったのだろう。

 実際は友人を一時間も待たせていたなんて……とぞっとする。しかも彼らと距離感が近く、たった今雅貴さんを子どもの頃からずっと好きだと言っていたのにわけがわからなかった。

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