姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
 異変を察知したコンシェルジュが駆けつけようとしたとき、それよりも速く誰かが私から瑠奈さんを引き剥がした。

「百花、大丈夫かっ?」

 助けてくれたのは雅貴さんだった。

 瑠奈さんへの恐怖で震える私を抱きしめてくれる。まさか瑠奈さんに暴力を振るわれるとは思ってもみなかった。

「大丈夫です……」

 雅貴さんのぬくもりに、一気に安心感に包まれた。
 
「喜多村さん、どうしてこんなことを」

 「職場じゃないのに喜多村さんって呼ばないでください!」

「百花を傷つけるのは許さないよ」

 威圧感のある低音の声で、雅貴さんが瑠奈さんに警告をした。いつも穏やかな彼が本気で怒っているのが伝わってくる。

「君が凛花さんに根も葉もない嘘を吹聴したのも知っている」

 雅貴さんは姉からすべて聞いていたのだ。

「雅貴さんが百花さんと結婚したのが悪いのよ! 私のほうがあなたを好きなのに!」

 瑠奈さんの激白に、彼はまったく顔色を変えなかった。

「俺は君をいとこ以上に思ったことはない。今回の件で、二度と顔も見たくないほどだ。百花に暴力を振るった君を許さないから」

 雅貴さんは情け容赦なく瑠奈さんを切り捨てる。彼女は口をパクパクさせてわなないた。

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