姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
 苦悶の表情で禎人さんが訴えた。その逞しい腕に、姉が寄り添うように手を添える。

「禎人さんってこんなにも筋肉隆々としているのに、気弱で臆病なんだから。昨日ようやく私にも本音を明かしてくれたの。だから私、彼に言い返したわ。『いつ誰が病気になるのかなんてわからないし、病気以外にも数えきれないくらいの困難がある。それでも私たちは病めるときも健やかなるときも……って結婚式で誓い合ったでしょ? 私は生涯禎人さんのそばにいるから』って」

 そう語る姉は明るくて前向きで、いつもの姿だった。ありのままの禎人さんの胸の内を知り、本来の自分を取り戻せたのだろう。

「俺は凛花に愛されている自信がなかった。だけど今回のことで凛花の気持ちをしっかりと確認できて、胸を張れるようになったんだ。これからも凛花と一緒にいたい。俺たちはもう大丈夫だよ。今まで心配をかけてごめんね」

 愛情を確かめ合った姉と禎人さんは、心の底から幸せそうだった。

「本当によかったです」

 私もそんなふたりを見られてほっとした。

「それで、私と雅貴さんの件だよね」

 姉が水を向けた。雅貴さんが姉に電話をかけたときに、簡単に内容を伝えていたみたいだ。

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