姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
「そうなの……?」

「うん。それに雅貴さんは尋常じゃないくらいもてるから、女性に期待させないようにガードが固いの。私は指一本すら触れられたことがない」

 きっぱりと言い放つ姉に、嘘をついている様子は感じられなかった。

「雅貴さんは姉を好きなわけではなかったのですか……?」

「まさか百花がそんな思い違いをしていたとはね」

 雅貴さんは切なげに微笑んだ。

「私……雅貴さんのことがずっと好きで好きでたまらなくて……だからつらくて……一番に好きになってもらえないのなら、離婚しようって……」

 激情に駆られ、うまく言葉が出なかった。

 でも彼には十分伝わったのだろう。熱い眼差しが注がれる。

「今も昔も、百花は俺の一番好きな人だよ」

 一番好きな人。二番目に甘んじた自分には絶対になれないと思っていた。

 まるで夢でも見ているみたいだ。

「雅貴さんっ……」

「はー、これでもやもやしていたものが消えてすっきりしたよ。百花は遠慮なく雅貴さんを好きでいいんだからね」

 姉が立ち上がり、背中を押すようにぽんと叩いてくれる。

「うん……」

「っていうか、雅貴さんも百花の気持ちに気づいていなかったのが不思議だよ。雅貴さんって洞察力は鋭いのに、百花に対してだけは不器用だよね」

 愉快そうに笑う姉に、彼は返す言葉も出ないといった表情だ。

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