意地悪で優しいあなたの溺愛

勉強会

色々あった体育祭も無事終わり、いつも通りの日常を過ごしている。

いや、変わったことはたくさんあった。

右京くんと花梨が付き合ったことで、花梨と過ごす時間が減った。

お弁当は花梨が抜けて、私と美緒奈ちゃんの2人で食べている。

寂しいけど、花梨が幸せそうなので、別にいいかと思えてくる。

そして、次に待っているのは定期テスト。

存在をすっかり忘れていた私は今、めちゃくちゃ焦っている。

中学校では、順位一桁に入るくらいの点数をとってきたけど、ここは高校だ。

私と同じか、それ以上に頭の良い人達が集まっている。

あと1週間しかないのに大ピンチだ。

「はぁ、」

ちなみに今は、数学の授業中。

わからないから、授業なんて聞いてない。

「キーンコーンカーンコーン」

授業終了のチャイムが鳴った。

号令がかかってクラスメイト達が思い思いに動き出し始める。

「胡桃ー、今度の土曜日あいてる?右京くんの家で勉強会しようと思ってるんだけど来ない?」

休み時間が始まってすぐ、花梨と右京くんがやってきた。

「え?、でも2人の邪魔になっちゃうよ?」

せっかくのカップルなのに邪魔者がいたら意味がないだろう。

「いや…その、…2人だけだと、勉強にならないんだよね」

それはどういう事だ。

「…花梨がかわいいのが悪い」

そういうことか。

「多分、その日は左京も家にいると思うよ」

左京くんがいる、と聞くと乗り気じゃなかった勉強会も魅力的に感じてくる。

こんなふうに思うのは初めてだ。

「…勉強会、行きたい」

「やったー!じゃあ今週の土曜日の10時ね!」

私と花梨は今度の土曜日に左京くんと右京くんのおうちに行くことになった。
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