意地悪で優しいあなたの溺愛
電車で3駅くらいの所に左京くんと右京くんの家はある。

思っていたより近くて驚いた。

家の前でもう一度、おかしな所がないか確認する。

こういうときにチャイムを押すのはいつも“花梨”なので、私がチャイムを押す。

ピーンポーンと聞き慣れた、でも少し違う音がして、玄関の扉があいた。

「花梨、胡桃ちゃん、いらっしゃい」

出て来たのは右京くんのようだ。

玄関の奥に左京くんも見える。

生まれてからずっも一緒にいて、24時間以上離れて過ごしたことの無い私たち双子。

相手の言いそうなセリフを考えるなんて余裕だ。

「右京くんっ!来たよ~!」

花梨(私)は明るく言って、甘えるように右京くんに寄っていく。

「こ、こんにちは、右京くん」

胡桃(花梨)は自信なさげに挨拶して、数歩離れた所で状況を見ている。

右京くんは、寄ってきた花梨(私)を受け止めるように両腕を広げた。

「ちょっと待って、」

右京くんが声をあげたのは花梨(私)が右京くんの腕にほとんど収まったころ。

右京くんが声をあげたのとほぼ同時に、開け放してあった玄関のドアから左京くんが出て来る。

「花梨、じゃないよね?胡桃ちゃんだよね?」

グイッと腕が後ろに引かれた。

私の腕を引いたのは左京くんのようだ。

「ぇっ、」

後ろから左京くんに引き寄せられたので、左京くんにバックハグされるような体勢になる。

「こっちが、花梨だよね」

一方、右京くんは本物の花梨の手をとった。
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