意地悪で優しいあなたの溺愛
「何見てんの」

ビクリと背中が震えた。

私の前にはいつの間にか、両手にコップを持った左京くんが立っていた。

「ご、ごめん…」

「…別に。大して面白いものじゃないし」

よかった。

左京くんを怒らせてしまったかと思った。

「あ、あの、その髪って染めてるの?」

「染めてない。髪も目も生まれつき」

驚くしかない。

そっくりな双子なのに髪の色はこんなにちがう。

「そう、なんだ」

「…、ここ置いとく」

左京くんは卒業アルバムのあった棚の上にコップを置いた。

「、ありがとう」
左京くんは私の隣に並んで座った。

少し動いたら、左京くんに触れてしまうような距離だ。

ドクリ、と心臓が鳴った。

なぜか恥ずかしくて、左京くんのほうを見られない。

「ねぇ、それわざと?あざとすぎ」

左京くんに手首をつかまれた。

「え…?」

「こんな格好で男の部屋きちゃダメだよ」

今日の私の服はオフショルダーのブラウスに、細身のダメージジーンズだ。

「…花梨の服だから、」

普段の私なら絶対にこんな格好はしない。

今日は花梨と入れ替わるために花梨の服を着てきている。

「でも、今着てるのは胡桃でしょ」

私の手首を掴む反対の手で、するりと肩を撫でられた。

「ふっ、」

触れられた肩がいい意味でゾクッとして、思わず声が漏れた。

「ホントに、襲われたいの?」

「ちがうもん…左京くんが触ったせいだもん」

じわりと涙が浮かんでくる。

「…自業自得、だからね」
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