意地悪で優しいあなたの溺愛
「左京くん。好きです」

まっすぐに左京くんを見つめる。

「左京くんの、私のことをちゃんと気にかけてくれる優しい所とか、全部、全部大好きです」

「っ、」

左京くんが息をのんだのがわかった。

「左京くんが私のことを嫌ってるのはわかってるからっ、…振って、欲しいです」

涙がこぼれそうだ。

でもここで泣くのは卑怯だから。

後で花梨の前でいっぱい泣くんだ。

「…なんで俺が胡桃のこと嫌いな前提なの?」

「ぇ?嫌いじゃ、ないの?」

今度は私が息をのむ番だった。

「普通、嫌いなら自分の部屋に入れないから」

「ぁ、」

パチリと左京くんと目が合った。

「俺も、胡桃が好き。おかしくなりそうなぐらい好き」

「!!!!」

嬉しい、というより驚きがすごい。

「胡桃、俺と付き合って」

「っ!…はいっ!喜んで」

こらえていた涙がついに溢れでる。

この涙は悲しい涙じゃない。

嬉しい涙だ。

「胡桃」

甘くて優しい声で名前を呼ばれる。

「さ、きょうくんっ」

溢れた涙をぬぐうより早く、左京くんに抱き寄せられた。

「胡桃、愛してる。もう、離さないから」

「私も、左京くんを愛してる」
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