意地悪で優しいあなたの溺愛

浮気疑惑

「さ、左京くんっ!…来週の土曜日、一緒に映画行かない?その、従姉妹にタダ券もらったから、」

左京くんと付き合い始めて約2週間。

私は初めて左京くんをデートに誘った。

「…ごめん、その日家族と出かけるから」

左京くんに悪意がないのはわかっている。

でも、ここまでキッパリ言われてしまうと地味に傷つく。

「そ、そっか、じゃあ、また別の日だね!」

傷ついたことを悟られないように明るい声をだす。

「再来週なら空いてるから、その日に」

心の小さな傷が見る見るうちに治っていくのがわかる。

「ほんと?」

「胡桃のいきたいところに行こう」

左京くんは不器用なだけですごく優しい。

私はそんな左京くんが大好きなんだ。

教室だというのに、私の頭を堂々と撫でる左京くん。

恥ずかしいけど、私と左京くんが付き合っているのを周りに見せつけてくれているようで、少し嬉しい。

「くるみん!次、体育だよ!イチャイチャも程々に、だよ~!」

美緒奈ちゃんの声で、ハッと我に返る。

「今行くー。…じゃあ、また、帰りね」

左京くんと別れて体育館に行く。

心がぽかぽかと暖かかった。
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