シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
「波留、ちゃんと話し合ったほうがいいよ。気になることは全部聞いてクリアにしなよ。せっかく仲良しなんだから他人の言葉に振り回されて夫婦関係悪くしちゃだめよ」

 優菜はそう言うと、立ち上がって会計してくると言った。私も慌てて立ち上がる。

「優菜、私も……」
「あとで請求するから」

 優菜が会計しているあいだ、私は明人さんの顔をまともに見ることができずにその場に立ち尽くしていた。すると彼がぼそりと言った。

「意地悪で掃除できない奴でごめんね」
「そんなこと……!」

 慌てて顔を上げると、彼は真顔で私を見ていた。

 まずい。怒らせてしまったかもしれない……。

「相当飲んだな?」

 彼の言葉に私はびくっと肩を震わせた。
 だって明人さんの声がいつもより低くて冷たいから。

「……ごめんなさい」
「別にいいよ。帰ろう」
「……はい」

 私は優菜に支払いをしてから彼女とは店の前で別れた。
 明人さんがタクシーを拾って、ふたりで帰途に就く。
 そのあいだ、ふたりとも無言だった。

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