シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
「明人さ……ひゃっ」

 彼は私の耳たぶを甘噛みした。

 い、いきなりさっきの続きを再開するの?
 でもまだ髪が乾いていないのに!

「ま、待って……髪がまだ濡れて」
「波留は俺の機嫌を悪くしたから責任とって」
「ええっ? 私、何か言いました?」
「君の口から浅井の名を聞きたくない」
「だ、だって、浅井さんは明人さんの後輩でしょ? なんで……」
「まだ言うか」

 彼は私の頭を掴むと強引にキスをしてきた。まるで黙れという命令を下すように、無理やり私の頭から浅井さんとのやりとりをかき消すように。
 ていうか、そんなに嫌いな人なの!?

 私は観念してこれ以上その話をするのをやめた。

 ううう、浅井さんの嘘つき。無言で不愛想でクールだなんて……。

 明人さんはイジワルで強引でとろけるくらいベタ甘のデザート盛り合わせ。フルーツですっきりしたと思ったら激甘のケーキを口に放り込まれてついでにとろとろのシロップをぶっかけられる気分だよ。


※明人の心情(神聖な愛の巣に会社の野郎を連れ込んでたまるか。この家は俺と波留の味だけで満たされていればいい(恍惚の笑み))
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