憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~
「あなたを失うのがっ。私は……!」
「――俺は離れている間も、いつだって千晴のことだけを考えて生きている」
「思いの強さだけで、生死が決まるわけじゃないわ……!」
「そうだな。だが、俺はとても嬉しい」
「どうして……!? 弱い私なんか、嫌いでしょう!? 航晴が好きな天倉千晴は、強くて泣き言を言わず、仕事ができる女でなければいけないのに……!」
「そんなことはない。君がそう、思い込んでいるだけだ」
彼の手が、ゆっくりと身体を這う。
頬から喉元を伝い、胸元へ。
反対側の手に交代したかと思えば、腰から臀部に向けてゆっくりと指先が移動していく。
彼が何をしようとしているのか理解した私は、涙を引っ込めて航晴を見上げる。
「心の強さや弱さなど、関係ない。誰かを喜ばせる感情、口にすることすらも憚られることを打ち明けてこその、夫婦だろう。俺はどんな思いも受け止める。千晴を、愛しているから」
航晴が身体に触れるのは、その気持ちを全身で表すためだ。
私はいつも、自分にとって都合のいい感情を一方的にぶつけている。
彼にばかり我慢をさせるなど、本当に酷い女だ。
自分でもそう思うのだから、航晴だって内心では愛想を尽かしていてもおかしくはなかった。
『この人に私は、ふさわしくない。彼が幸せになるために、お母さんは身を引こうと決めたの』
かつて、お母さんが話してくれたことがある。
相手の幸せを一方的に決めつけ、身を引いたのだと。
今になってそれが間違いだと気づいた彼女は、お父さんと幸せなひとときを過ごしている。
親子二代で、まったく同じことを繰り返すなどありえない。
信じると決めたなら。
際どい場所を撫でるその手すらも、拒む理由などなかった。
「私を、一人にしないで……。たくさんの愛を、注ぎ続けてよ……。あなたなしでは、いられないくらいに……」
「わかった」
頬に残った涙を唇で舐め取った彼は、私を抱き上げリビングをあとにする。
三木邸は無駄に広いから、寝室へ向かうにも一苦労だ。
私は我慢できなくなり、航晴が廊下を歩いている最中も彼を求め、首筋へ顔を埋めてリップ音を響かせた。
「今日は随分と乗り気だな」
「私だって航晴のこと、愛していないわけではないのだから……」
「ああ。よく知っている」
寝室に到着した頃には、彼の首元には大量の噛み跡で埋め尽くされていた。
ベッドに横たわった私がやりすぎたかもと苦笑いをしたところで、何事もなかったかのように身体が離れるわけもなく――。
「ここに痕が残ったら。妻につけられたと宣言してもいいだろうか」
「構わないわ。なんでもいいから、私を航晴の愛で満たして」
そこから先の行為に、言葉は必要ない。
彼の首元に両手を回した私は、数時間後には仕事があることすらも忘れ、甘い夜に酔い痴れた――。
「――俺は離れている間も、いつだって千晴のことだけを考えて生きている」
「思いの強さだけで、生死が決まるわけじゃないわ……!」
「そうだな。だが、俺はとても嬉しい」
「どうして……!? 弱い私なんか、嫌いでしょう!? 航晴が好きな天倉千晴は、強くて泣き言を言わず、仕事ができる女でなければいけないのに……!」
「そんなことはない。君がそう、思い込んでいるだけだ」
彼の手が、ゆっくりと身体を這う。
頬から喉元を伝い、胸元へ。
反対側の手に交代したかと思えば、腰から臀部に向けてゆっくりと指先が移動していく。
彼が何をしようとしているのか理解した私は、涙を引っ込めて航晴を見上げる。
「心の強さや弱さなど、関係ない。誰かを喜ばせる感情、口にすることすらも憚られることを打ち明けてこその、夫婦だろう。俺はどんな思いも受け止める。千晴を、愛しているから」
航晴が身体に触れるのは、その気持ちを全身で表すためだ。
私はいつも、自分にとって都合のいい感情を一方的にぶつけている。
彼にばかり我慢をさせるなど、本当に酷い女だ。
自分でもそう思うのだから、航晴だって内心では愛想を尽かしていてもおかしくはなかった。
『この人に私は、ふさわしくない。彼が幸せになるために、お母さんは身を引こうと決めたの』
かつて、お母さんが話してくれたことがある。
相手の幸せを一方的に決めつけ、身を引いたのだと。
今になってそれが間違いだと気づいた彼女は、お父さんと幸せなひとときを過ごしている。
親子二代で、まったく同じことを繰り返すなどありえない。
信じると決めたなら。
際どい場所を撫でるその手すらも、拒む理由などなかった。
「私を、一人にしないで……。たくさんの愛を、注ぎ続けてよ……。あなたなしでは、いられないくらいに……」
「わかった」
頬に残った涙を唇で舐め取った彼は、私を抱き上げリビングをあとにする。
三木邸は無駄に広いから、寝室へ向かうにも一苦労だ。
私は我慢できなくなり、航晴が廊下を歩いている最中も彼を求め、首筋へ顔を埋めてリップ音を響かせた。
「今日は随分と乗り気だな」
「私だって航晴のこと、愛していないわけではないのだから……」
「ああ。よく知っている」
寝室に到着した頃には、彼の首元には大量の噛み跡で埋め尽くされていた。
ベッドに横たわった私がやりすぎたかもと苦笑いをしたところで、何事もなかったかのように身体が離れるわけもなく――。
「ここに痕が残ったら。妻につけられたと宣言してもいいだろうか」
「構わないわ。なんでもいいから、私を航晴の愛で満たして」
そこから先の行為に、言葉は必要ない。
彼の首元に両手を回した私は、数時間後には仕事があることすらも忘れ、甘い夜に酔い痴れた――。