憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~

夜空を彩る花火と共に、告白を

 甚兵衛姿に身を包んだ航晴は、今日見た中で一番かっこいいと感じた。

 年に一度しか見られないレアな衣装に身を包んだ彼の姿は、永久保存版だ。
 私は柄にもなくスマートフォンを取り出し、提案する。

「ねぇ。写真、撮りたいのだけど」
「ああ。それは構わないが……」
「何よ」
「お望み通りに着替えたんだ。感想の一つくらいは、聞かせてほしい」

 それを口にできないから、行動で示したのに……彼の真っ直ぐな視線から逃れるように、胸元辺りを見つめて呟いた。

「言葉にしなくても。あなたならわかるでしょう」
「目を見ればな。着替えを済ませてからは、目を合わせようともしない」
「そういうことよ」

 航晴は難しい顔で、口を真一文字に結ぶ。

 言葉の意味を考えているのかもしれないわ。
 深く考えるようなことでは、ないと思うのだけれど。
 そんなに難しい話だったかしら?

「感想を告げることなく、スマートフォンを取り出して撮影を要求した。それがすべてよ」
「待ち受けにしたいと思うほど、この姿が気に入ったのか……?」

 そうだけど、どうして半信半疑なのだろう。
 せっかく素直な気持ちを打ち明けたのに、疑われるとは思わなかったわ。
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