愛の街〜内緒で双子を生んだのに、孤高の副社長に捕まりました〜
さいわいにして、もううどんは熱くない。そもそも彼にはかかっていなかった。
 
それを確認してから、今度は龍之介に頭を下げる。

「すみません。すぐに……」

「大丈夫、俺がやるから。おっと、先におかわりだな。多めに作っておいてよかった。君はうどんを食べてて」
 
そう言って立ち上がり、キッチンへ行く。そしてまずはおかわりを持ってくる。
 
今度は少し汁は少なめだ。

「まだまだあるからな」

「あーう!」
 
圭太が嬉しそうにしてまた食べ始めるのを確認して、キッチンからペーパータオルを持って戻ってきた。
 
当然のようにテーブルも床も綺麗にしていく龍之介を有紗は唖然として見ていた。

「なに? そんな驚いた顔をして」

「な、なにも……ありがとうございます。すみませんでした」
 
有紗の言葉に首を振る。

「どうして君が謝るんだ。俺が子供たちを見てたんだから、俺のミスだろう」
 
微笑んで彼は、ペーパータオルを捨てにキッチンへ行く。
 
その背中をジッと見ている有紗は、この状況をどう受け止めていいかわからなかった。
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