愛の街〜内緒で双子を生んだのに、孤高の副社長に捕まりました〜
唐突にはじまった有紗からのプロポーズに、龍之介が不意を突かれて瞬きをして固まった。
 
ホットケーキかトーストかの答えになっていないし、子供たちもいるところで、と思うけれど口は止まらなかった。

「龍之介さん、愛しています。結婚してください」
 
感情が昂り少し大きな声を出す有紗を腕の中の圭太が、不思議そうに見上げている。
 
龍之介が康太を抱いたまま有紗のところへやってくる。
 
双子と有紗を広い腕でまとめて抱きしめた。

「有紗!」
 
そのまま有紗の髪に口づける。

「もちろんだ、有紗。結婚しよう。家族になろう。決心してくれてありがとう。必ず幸せにするよ」
 
その声は、わずかに震えていた。
 
あたたかい声と、自分たちを包む力強さに、有紗は決意する。

回り道をしたけれど、ようやくひとつになれたのだ。

この先、なにがあっても絶対に乗り越えて見せる。
 
固く固く抱き合う両親を、少し苦しそうにしながら双子が不思議そうに見上げていた。
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