愛の街〜内緒で双子を生んだのに、孤高の副社長に捕まりました〜
龍之介が口を開いた。
「記事に書かれてあることは、一部は本当のことですが、一部は事実ではありません」
そう前置きをして話しはじめた。
「まず渡辺さんと婚約してるという話ですが、これについては事実無根、確かに三年前に縁談の話をいただきましたがその時点でお断りしております。それは社長もご存知ですね?」
ちらりと一郎を見ると彼は無言で頷いた。
詩織がいるにもかかわらず断ったことをはっきり口にする龍之介に、常務が渋い顔になった。
「だが……詩織さんはまだ秘書課におられるじゃないか」
「はい。ご本人の気が済むまで在籍させてほしいと渡辺社長に頼まれましたので。ですがさすがに三年経ちましたから、そろそろ……という話は、本人にさせていただいております」
容赦のない龍之介の言葉に、常務は隣でうつむいている詩織を気遣うように見た。
大事な取引先のご令嬢に失礼にならないかを心配しているようだ。
「龍之介……お前、そのような言い方は……」
「いいんです」
詩織が口を開いた。目を潤ませてほとんど泣きそうである。
「いつまでも未練がましく居座り申し訳ありませんでした。お祖父さまは、私と龍之介さんが一緒になることを望んでいて、お父さまも、両家のためにはその方がいいと言っておりました。私には適当な理由をつけて残るように言いました。断られたのはきっと龍之介さんのお仕事が忙しい時期だからだって……」
そこで彼女は声を震わせ泣き出した。
「それが龍之介さんに不快な思いをさせたのなら申し訳ありません」
「記事に書かれてあることは、一部は本当のことですが、一部は事実ではありません」
そう前置きをして話しはじめた。
「まず渡辺さんと婚約してるという話ですが、これについては事実無根、確かに三年前に縁談の話をいただきましたがその時点でお断りしております。それは社長もご存知ですね?」
ちらりと一郎を見ると彼は無言で頷いた。
詩織がいるにもかかわらず断ったことをはっきり口にする龍之介に、常務が渋い顔になった。
「だが……詩織さんはまだ秘書課におられるじゃないか」
「はい。ご本人の気が済むまで在籍させてほしいと渡辺社長に頼まれましたので。ですがさすがに三年経ちましたから、そろそろ……という話は、本人にさせていただいております」
容赦のない龍之介の言葉に、常務は隣でうつむいている詩織を気遣うように見た。
大事な取引先のご令嬢に失礼にならないかを心配しているようだ。
「龍之介……お前、そのような言い方は……」
「いいんです」
詩織が口を開いた。目を潤ませてほとんど泣きそうである。
「いつまでも未練がましく居座り申し訳ありませんでした。お祖父さまは、私と龍之介さんが一緒になることを望んでいて、お父さまも、両家のためにはその方がいいと言っておりました。私には適当な理由をつけて残るように言いました。断られたのはきっと龍之介さんのお仕事が忙しい時期だからだって……」
そこで彼女は声を震わせ泣き出した。
「それが龍之介さんに不快な思いをさせたのなら申し訳ありません」