愛の街〜内緒で双子を生んだのに、孤高の副社長に捕まりました〜
言葉を交わすことはおろか、直接顔を見ることもできなくなってしまうのだ。
——これが最後だから。
有紗は自分に言い訳をする。
ひどい初恋に傷ついて、もう恋はしないと決めていた自分が、また人を好きなってしまった。
ダメだダメだといくら自分を諌めても止めることはできなかった。
こんなに胸が焼けるような熱い想いは、きっと一生に一度だけ。
自分はもう彼以外の男性を愛することはないだろう。
あと少しで、分布相応な恋は終わりを迎える。
終わりにするから、今夜だけは、ほんの少しわがままな自分を許したい。
ル・メイユールは貸切だった。
テラスが見えるテーブルで、有紗は彼と向かい合う。淡いライトに浮かぶ彼に見惚れてしまう。
癖のある黒い髪と、切れ長の目。
東洋の黒騎士。
世界中の女性を虜にした彼とこうしてふたりで食事をしているのが信じられなかった。緊張でなにを話せばいいかわからない。
会話は龍之介中心に進んだ。彼は有紗の一年間の仕事ぶりを褒め、上手に話を進めた。
舌平目のオードブルからはじまったコース料理は、どこかフランスの家庭料理を思わせるもので美味しかった。
アルコールが入ると、次第に砕けた雰囲気になる。
「考えてみれば、こうやってふたりで食事をするのははじめてだな」
料理も終盤に差し掛かった頃、龍之介がワイングラスを手に言う。
「ふたりどころか、食事自体一度もなかったような。君は、海外事業部にいた時も、ランチに参加していなかったし」
——これが最後だから。
有紗は自分に言い訳をする。
ひどい初恋に傷ついて、もう恋はしないと決めていた自分が、また人を好きなってしまった。
ダメだダメだといくら自分を諌めても止めることはできなかった。
こんなに胸が焼けるような熱い想いは、きっと一生に一度だけ。
自分はもう彼以外の男性を愛することはないだろう。
あと少しで、分布相応な恋は終わりを迎える。
終わりにするから、今夜だけは、ほんの少しわがままな自分を許したい。
ル・メイユールは貸切だった。
テラスが見えるテーブルで、有紗は彼と向かい合う。淡いライトに浮かぶ彼に見惚れてしまう。
癖のある黒い髪と、切れ長の目。
東洋の黒騎士。
世界中の女性を虜にした彼とこうしてふたりで食事をしているのが信じられなかった。緊張でなにを話せばいいかわからない。
会話は龍之介中心に進んだ。彼は有紗の一年間の仕事ぶりを褒め、上手に話を進めた。
舌平目のオードブルからはじまったコース料理は、どこかフランスの家庭料理を思わせるもので美味しかった。
アルコールが入ると、次第に砕けた雰囲気になる。
「考えてみれば、こうやってふたりで食事をするのははじめてだな」
料理も終盤に差し掛かった頃、龍之介がワイングラスを手に言う。
「ふたりどころか、食事自体一度もなかったような。君は、海外事業部にいた時も、ランチに参加していなかったし」