魅惑の絶対君主
謎めいた男





「……──というわけでね、今日からまた地獄の節約生活が始まるの……」



──翌日。

幼なじみのレオくんに昨日の出来事をかくかくしかじか話したところ、同情より先に、ものすごく呆れた顔を向けられた。



「ほら言わんこっちゃない。隣街に引っ越したくらいで債鬼共から逃げ切れるわけないって僕言ったじゃん」


「うっ、わたしもそう思ったけど……。お母さんは絶対大丈夫って言ってきかなかったし、現に引っ越してからの一ヶ月は平和だったんだよお……」


「冬亜ちゃんさ、あのどうしよーもない母親に振り回されるのもうやめなよ。不幸になる一方だよ」



またしても、うっと言葉に詰まる。


人の家族を“どうしようもない母親”呼ばわりするレオくんは本当に容赦がないけど、
わたしのためを思ってのセリフだとわかるから嫌な気持ちにはならない。


何より、言ってることは正論だし……。

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