魅惑の絶対君主

三者面談……。

そっか、もう7月になるもんね。



うちの学校では、学期末に三者面談があると入学時に聞かされていた。

夏休み前の2週間、お昼休みと放課後を使って行われるらしい。



「レオくんは叔父さんに来てもらうの?」

「いや、あいつなんかに絶対頼みたくない。先生も事情知ってるし、二者面談にしてもらえないか相談しようと思ってる」


「………そっか。わたしも、そうしようかな」

「冬亜ちゃんは無理だろ、一緒に住んでる母親がいる限りは」


「……でも、出ていっちゃったから……」



無意識に零れたことに気づき、ハッと青ざめた。



「や、今のは……っ」

「出てった? マジかよあの母親!」


「ち、違うよ……なんていうかね、お母さんは──」

「娘を置いて出ていったんでしょ。冬亜ちゃんは壊滅的に嘘下手くそだからすぐわかるよ」

「……、……」



やってしまった、とうなだれる。

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