断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「シュン様、よくお聞きになってください。リュシアン様にも申し上げたことですが、シュン様には適切な距離を保っていただきたいのです」
「適切な距離? ハナコの手を握るのは不適切には思えないが……」
「フランク学園において、わたくしとシュン様は学友でございましょう? 意味もなく触れ合うのはおかしいですわ」
「学友ならば別段おかしくはないのではないか?」
「ではシュン様はわたくし以外の者の手もお握りになられますのね? 例えばダンジュウロウ様だとか」

 ぎょっとした顔で山田とダンジュウロウが見つめ合った。
 かと思ったら、ふたりして同時にこっち見てくるし。

「いや、ダンジュウロウの手を握るのはおかしいだろう」
「だとしたら、わたくしの手を握るのもおかしくはございませんか?」
「ダンジュウロウは男だ」
「でしたらわたくし以外の女生徒とも触れ合ってくださらないと。わたくしだけ特別扱いするのはどうかと思いますわ」
「だがハナコ以外の女性に触れるなど……」

 はぁ、とこれ見よがしに大きくため息をついたら。
 はっとした様子の山田、ようやくわたしの言いたいことを理解したみたい。

「そ、そうだな。これからは適切な距離を保つことにしよう」
「そうなさってくださいませ。でないとわたくし、早々に結論を出してしまいそうですわ」

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