断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 次の授業、何かと厳しい魔法学の先生なんだよね。遅刻するとペナルティを課せられるかも。
 巻き込むのも申し訳ないし、人目がない方がロレンツォにも言いたいこと言えちゃいそう。

 本鈴が鳴り響いて、周囲にいた生徒たちはみんな教室へと消えていった。
 シーンとした廊下で、乱暴に壁ドンされる。

「ようやくふたりきりになれたな」
「イタリーノではこんな強引な誘い方が常識ですの?」
「わが国では女を見たら口説くのが礼儀だからな」
「まぁ、それでは殿方は大忙しですわね。ですがここはヤーマダ国。このような行いはマナー違反ですわ」
「くくっ、郷に入れば郷に従え。そういうことか」

 分かってるなら笑ってないでソコどきなさいよ。
 っていうか、壁ドンしたまま髪に触れてくんなっ。

「許可もなく女性の髪に触れるだなんて。とても一国の王子の行いとは思えません」
「あいにく女の髪を褒めるのも重要な男のマナーでな」

 そんなマナーあるわけないでしょ!
 ぎっと睨みつけたら、余計に面白そうな顔されちゃった。
 もしかして作戦間違えた?
 大声出せば誰か来てくれるだろうけど、あまり大ごとにはしたくはないし。

「そこまでにしろ、ロレンツォ。今すぐハナコから離れるんだ」
「シュン様……!」

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