断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

第59話 人質コンプレックス2

 先についてたロレンツォが、リュシアン様に回復魔法をかけてもらってる。

「ロレンツォが済んだらハナコも頼みます」
「今日は大忙しですな。おおっと、怪我の有無をスキャンしておりますゆえ、まだ動いてはなりませんぞ?」

 手をかざすリュシアン様に、ロレンツォは大きく舌打ちを返した。
 ちょっと、その方は我が国の前国王よ? バカにするようなマネ、やめてくんない?

 しばらくそんな様子を黙って見守ってたんだけど。

「どうした、ハナコ?」
「いえ、魔法学の授業をさぼってしまったものですから、あとで先生に怒られるか心配で」
「それならわたしからひと言伝えておこう。今日は不測の事態が起きたからな」
「ありがとうございます、シュン様」

 山田から言ってもらえれば、おとがめはなしになりそう!
 うれしくて素直にお礼を言ったら、見上げた山田の顔が思ったより近くって。
 ん? なんでいまだに山田の腕の中にいんの、わたし?

「す、すまない、ハナコっ。流れでついそのままでいてしまったっ」

 あわてて手を離した山田。いや、何もそんな遠くまで行かなくっても。

「今日は不測の事態でしたから。助けていただいた身で文句など申し上げませんわ」
「そうか、ならば良かった」

< 311 / 413 >

この作品をシェア

pagetop