断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

第64話 勝敗の行方

 その間にも砂時計はサラサラ落ちて。

 飛ばす順番を間違えたらそれでアウトだ。
 ボールの位置を目で確認しながら、頭の中で最後のシミュレーションをした。

 芝生に隠れて見えづらいけど、配置は完璧。やれることはやってきたんだし、ここまできたら女は度胸よ。

(よし、行ける!)

 まずは一発目。
 山田の後方、目に入らない死角でティッシュ玉をひとつ宙に浮かせた。

「シュン様」
「なんだ、ハナコ?」

 にっこりと呼びかけて、注意をこちらに向けさせる。
 そ知らぬ顔で魔力を込め続けた。
 いま振り返ったりしないでよ。ここで気づかれたら、何もかもが台無しだもの。

「わたくしの魔法なんて、どうってことないとお思いでしょう?」

 見つめ合ったまま、山田の肩目がけて渾身の一撃を叩きこんだ。

「うおっ」

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