断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

第70話 思いにウソはつけなくて

 大使の指がトリガーにかけられる。
 ハンカチの下に隠れてても、その動きが良く分かった。

「シュン様……!」

 悲鳴交じりのわたしの声は、どこかで起きた爆発音にかき消されてしまった。
 みんなの注意は音がした方に向けられて。
 大使の視線だけが、山田を鋭く捉えてた。

(ここからじゃ間に合わない……!)

 駆けだした足はもどかしいくらいに遅くって、その間にも銃口の狙いは確実に山田に定められていく。

「やめてっ!」
「ハナコ!?」

 振り向いた山田。
 延ばされたわたしの腕は、大使の握る拳銃を目指してて。
 それでも全然遠すぎる。
 舌打ちとともに、大使が大胆に銃を構えなおした。
 ハッと山田が異変に気づいた時、引き金はもう引かれる寸前で。

「させませんわ……っ!」

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