断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 そのとき急に、開いていた本に影が差した。

「ハナコ嬢、ここにいたのか」
「ダンジュウロウ様、ごきげんよう」

 ん? 君と待ち合わせをした覚えはないんだが?
 ってか、なぜ隣に腰かける?

「図書館ではありがとうございました」
「いや、大したことはしていない」

 そこで会話が終わって、なんというか奇妙な間があいた。
 一体君は何しに来たんだ? 元々世間話をする仲でもないし。

「今日は何かご用でも……?」
「最近読んだ歴史小説が思いのほか面白かったんだ。それでハナコ嬢にもどうかと思って持ってきたんだが」
「まぁ、わざわざわたくしに……?」

 手渡された本はそこそこの厚みがあった。歴史小説は嫌いじゃないけど、あまり詳しすぎるのはちょっと苦手だ。
 受け取った手前、ぱらぱらとページをめくってみる。ぱっと見、あらすじ的にはまぁまぁ好みかも?

「わりと読みやすいと思う」
「本当に借りてもよろしいの?」
「ああ、返すのはいつでもいい」

 おお、新規ジャンル開拓だ。ロマンス小説は図書館にあまり数置いてなくて、最近は探すのに苦労してたんだ。

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