クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
 真剣に、少し訥々と一生懸命にそう言われ、俺は目の前の海雪がに対する愛情で胸がいっぱいになる。愛に形があるとすればきっと海雪の形をしている。高尾あたりに告げれば呆れかえられてしまうかもしれないが、俺は本気でそう思っている。

「私も、あなたの好きなのもが知りたいです。教えてもらえませんか……」

 そう言ってから、海雪は軽く目を伏せた。

「も、もちろん政略結婚という間柄で、個人的な事柄を教えたくないというのなら、それで」
「そんなはずがない」

 俺はハッとして軽く身を乗り出してしまう。海雪の綺麗な瞳が目の前にある。どきまぎしてしまいつつ、その透明感のある目を見つめながら必死で言葉を紡ぐ。

「本を読むのが好きだ。それからランニングも……その、大学まで陸上をしてしたから。食べるものにそうこだわりはないけれど、どちらかというと和食が好みだ」
「こだわりがない? お料理がお好きなのに?」

 きょとんと問われて「しまった」と言葉に詰まる。俺の料理好きは海雪の胃袋を掴むための急造の趣味なのだ。

「自分というより人に食べさせるのが好きなんだ」
「そう……なんですか? お義父様たちに?」
「いや」

 あんなやつらに手料理なんか振る舞ってたまるか、とやけに硬い声になった。海雪が「なら」と言いかけてとめて、それから曖昧に「そうなんですね」と笑うから、俺はハッとする。

 過去の恋人に作ったとか、そんなことを考えている気がする。

「……っ、君だけだ」
「え?」
「女性には君にしか作ってない。……その、同僚なんかには食わせたけれど」

 あくまで実験台として。
 けれど海雪は納得したようだった。

「そういえば、毅くんもときどき焼き菓子を作って職場で配っています。お母さんの大井さん仕込みなんですよ。私も彼女に教わって、焼き菓子作るの好きで」
「ああ……そんなものかな」

 言いながら内心歯噛みする。くそ、また出たな大井毅。
 それにしても、海雪の手作り菓子か。あまり甘いものは食べないけれど、海雪の手作りならいくらでもたべられそうだ。
 いつか、食べさせてもらえるだろうか。

「他にはなにが好きなのですか?」

 微笑んで俺を見上げる海雪を見ていて気がつけば「俺は」とするっと口が動いていた。
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