クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
動物園のあとは有名ショッピングセンターの近くに開店したばかりのハロウィン期間限定のポップアップバーへ向かう。
一歩入ると、古城をイメージしたらしい薄暗い店内はすでに客でいっぱいだった。
客のほとんどが、ちょっとした仮装をしているようだった。角のついたカチューシャだの、ベネチアンマスクなどの小物をさりげなくつけている。
ドレスコードというわけではなさそうだったから、少し不思議に思いつつ半個室の予約席に通され、海雪とソファに並んで座る。海雪は興味深げにあたりをぐるりと見回した。
「……バーなんて、初めてです」
気恥ずかし気に海雪は言う。俺は頷き、店員に渡されたタブレットをタップして海雪に示す。安心したように彼女は微笑み、それを覗き込む。ただでさえくっついて座っているのに、余計に距離が近くなる。
こっそりと熱い息を吐いた。
初恋にとまどう子どもみたいに、海雪の存在に慣れない。三十路にもなって恥ずかしいが、ときめきというものが実在するのをまざまざと実感し続けている。
「わあ、どれにしましょう」
そう海雪が声を上げたディスプレイのメニューには、ハロウィンをイメージしたカクテルがずらりと並んでいた。
「ジャック・オ・ランタン……かぼちゃがカクテルに入ってるって、どんな味なんでしょう?」
うきうきとする様子がかわいらしい。パンプキンクリームを添えたデザート系カクテルらしい。
「君はこういうの好きなんじゃないのか」
海雪の好きなカフェのデザート系ドリンクを思い返しちらっと彼女を見れば、海雪は「柊梧さんは」と静かに微笑んだ。
「柊梧さんの好きなものはなんですか」
「……俺の?」
そんな情報が必要だと思っていなかったため一瞬虚を突かれたような気分になる。
「柊梧さんは私の好きなものを覚えてくださってます。甘い飲み物だったり、食事にも気を遣ってくださって、服まで選んでくれました。私がああいうの、気になっていたのに気が付いてくださっていたんですよね」
柔らかに微笑み、海雪は続ける。
「ハワイに来て、ドライブも大好きになりました。なのに私は、あなたの好きなものをあまり知りません。お料理が趣味なのと、コーヒーはブラックがお好きなのかな? くらい」
一歩入ると、古城をイメージしたらしい薄暗い店内はすでに客でいっぱいだった。
客のほとんどが、ちょっとした仮装をしているようだった。角のついたカチューシャだの、ベネチアンマスクなどの小物をさりげなくつけている。
ドレスコードというわけではなさそうだったから、少し不思議に思いつつ半個室の予約席に通され、海雪とソファに並んで座る。海雪は興味深げにあたりをぐるりと見回した。
「……バーなんて、初めてです」
気恥ずかし気に海雪は言う。俺は頷き、店員に渡されたタブレットをタップして海雪に示す。安心したように彼女は微笑み、それを覗き込む。ただでさえくっついて座っているのに、余計に距離が近くなる。
こっそりと熱い息を吐いた。
初恋にとまどう子どもみたいに、海雪の存在に慣れない。三十路にもなって恥ずかしいが、ときめきというものが実在するのをまざまざと実感し続けている。
「わあ、どれにしましょう」
そう海雪が声を上げたディスプレイのメニューには、ハロウィンをイメージしたカクテルがずらりと並んでいた。
「ジャック・オ・ランタン……かぼちゃがカクテルに入ってるって、どんな味なんでしょう?」
うきうきとする様子がかわいらしい。パンプキンクリームを添えたデザート系カクテルらしい。
「君はこういうの好きなんじゃないのか」
海雪の好きなカフェのデザート系ドリンクを思い返しちらっと彼女を見れば、海雪は「柊梧さんは」と静かに微笑んだ。
「柊梧さんの好きなものはなんですか」
「……俺の?」
そんな情報が必要だと思っていなかったため一瞬虚を突かれたような気分になる。
「柊梧さんは私の好きなものを覚えてくださってます。甘い飲み物だったり、食事にも気を遣ってくださって、服まで選んでくれました。私がああいうの、気になっていたのに気が付いてくださっていたんですよね」
柔らかに微笑み、海雪は続ける。
「ハワイに来て、ドライブも大好きになりました。なのに私は、あなたの好きなものをあまり知りません。お料理が趣味なのと、コーヒーはブラックがお好きなのかな? くらい」