噛んで、DESIRE


「昨日は……授業あったけど、土曜日ですよね」

「うん、そう。ちなみに今日は?」


「日曜日です」

「だよね。つまり、学校ないよね」



ニコッと目を細めた吾妻くんに首を傾げる。


そこで、はたと気付いた。

とってもとっても、恐ろしいことに。



「…………まさか」



小さくこぼしたわたしの言葉に、彼はさらに笑みを濃くさせてうなずいた。



「はは、今日も帰れないわ」



……なんてことだ。

昨日で終わりだと思ったから泊めたのに。


驚いているのに、なんだかもう抗えないと思って、しまいには項垂れた。



「……これも、作戦ですか?」

「んなわけ。てことでもう1泊してもいい?」


「……仕方なし、です。野宿は、困りますので」

「さすが杏莉ちゃん。ありがと」


< 63 / 320 >

この作品をシェア

pagetop