噛んで、DESIRE
もう知らない、とベッドから降りる。
すると、入れ替わりのように吾妻くんはベッドに座って手を広げてくる。
「ハグしとく?」
「しません!」
「そー? ザンネン」
「思ってないくせに……」
本当に適当な人。
半日過ごしてみれば慣れるもので、扱い方もわかってきた。
吾妻くんを置いて、花瓶の中の水換えをしていると、彼も気になったようで隣に立ってくる。
やっぱり背が高い……と圧倒されていると、彼は眠たそうに言った。
「杏莉ちゃんって、センスあるよね」
「センス、ですか」
「そう。花選びのセンス。これとか自分で生けてるんでしょ?」
コレ、と吾妻くんが指さしたのは、わたしが生けた花だった。
華やかだけど、わざとリビングの隅の方に置いている。