好きだなんて、【完】
「…うん、知ってるよ」
どきどきと、決定的なその言葉を待つ
さっきの聞いてしまった言葉は聞き間違いじゃないのかって、確信がほしい。
「俺はしずくの"側にいたい""守りたい"」
柔らかいその声に、硬い表情が解けた笑顔に胸が溶けていく
こんなに、優しい目をする凪くんに見つめられるのなんて何年ぶりだろう
もう胸がいっぱいだ。
「しずくが好きだ。」
逸らさないほどに真っ直ぐ捉えられた目
脳に響く言葉に、胸があつい
「本当?」
「ずっと好きだった」
淡くて、優しくて、柔らかいはずの言葉が胸を貫く
さっき聞こえて来た涙ながらの言葉は、本当だったんだ。
「ずっとしずくのことが好きだった。でも芸能界に入ったら恋愛は出来ないって言われて、つららが好きだなんて嘘までついて冷たくしてしずくを遠ざけた。」
3年前からの凪くんの態度が腑に落ちた。
悲しげな目が揺れる