好きだなんて、【完】

しずくside



優しく微笑んだお姉ちゃんは稲妻さんと風季と病室を出て行って、凪くんと2人きりになった。



目の前にいる凪くんの瞳が揺れている。







「怪我、ないのか?」



「うん。凪くんは?」



「手だけ、痛い」



「私も、手痛い」




気まずい空気




言いたいことも、聞きたいこともいっぱいある。



凪くんが目を覚ましたこと、大した怪我してないこと、涙が出るほど嬉しいはずなのに、



病室に入る前に聞こえてきた言葉に頭が混乱している。



そんなはずがない、と耳を疑った自分と、



素直に喜びたい自分





「イヤリングつけてないの。」




沈黙を破いたのは凪くん





「…検査で外しただけで病室にあるよ」




「しずく、イヤリングのプレゼント言葉知ってる?」




身に纏うオーラは、3年前に戻ったのかと思うほど柔らかい。
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