好きだなんて、【完】

「それでさ、霧沢凪からサインもらってきてくれないかな?」


差し出される色紙






霧沢凪(きりさわなぎ)とは、





私の隣の家に住む幼なじみである。凪くんも今ときめく若手俳優である。


高校生の時お姉ちゃんの撮影現場を見学したときに、事務所の人にスカウトされて芸能界入りをした。


それからドラマや映画に出るようになり、最近ではSNSで話題になっている。


クールで端正な顔立ち、黒いセンターパートの髪型、薄い唇、切長の目、身長185センチの超モデル体型の持ち主



「そ、それは…」


「もらえるでしょ?」



高圧的にもう一度差し出される色紙




「む、難しいかな…」




凪くんが私にサインをくれるわけなんてない。


…そもそもしばらく話してないし。



「えー、どうして?私超ファンなんだけど。そのためにわざわざ色紙まで買ってきたのに」



「えっと…」



どっ、どうしよう…
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