運命とか勘弁してほしい!
イケメンくんたちと転校生
あの衝撃的な入学式から数週間、あたしは重い足を引き摺るようにとある場所へと向かっていた。階段を一段ずつ登り、その場所が近付いてくるたびにため息が出てしまう。

二階の奥にその部屋はある。出入り口となっているスライド式のドアには、「ミステリー研究部」とコピー用紙にマジックペンで手書きされていた。

その部屋の前で足を止める。正直言ってこの部屋に入りたくない。だって、この部屋に入ったら寮の夕食の時間まで面倒くさいことになる。でも、入らないといけないんだ……。

「失礼しま〜す……」

嫌悪感丸出しの低い声で言いながらあたしが部屋に一歩入ると、何かが猛ダッシュしてきた。悲鳴を上げる暇もなく、あたしの体に衝撃が走る。口から女子らしからぬ「グエッ!」という潰されたカエルのような声が出てしまったのは見逃してほしい。

「琴葉、遅い!ずっと僕待ってたんだからね!」

そう言い、グリグリとあたしの体に猫のように頭を押し付けてくるのは、猫目の黒髪男子こと有馬栞(ありましおり)くん。このミステリー研究部の部長だ。
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