運命とか勘弁してほしい!
あたしと同じ一年生であるはずの栞くんが何故この部活の部長なのかというと、この部活は栞くんが作った部活のため。本来なら自由に新しい部活は作れないはずなんだけど、栞くんはどうやらこの学校の理事長と深い縁があるらしい。……って、それは置いておいて!

「栞くん、そろそろ離して」

「やだ。琴葉と違うクラスなんだからこの瞬間はくっついてたいもん」

そう言って頰を膨らませる彼は、テレビに出ているアイドルよりも可愛くて、キュンとしてしまう。こんな同人誌読んだことあるな〜……。

「おい、栞。いい加減離れろ」

鋭い声と共にこちらに向かって歩く足音が響く。栞くんの襟首が強く引かれ、あたしと栞くんはようやく離れることができた。助けてくれたのは、髪をきっちりワックスでセットした熊白草太(くましろそうた)くんだ。今日も髪がキマっている。

「草太くん、ありがと!」

あたしがお礼を言うと、彼はそっぽを向きながら「別に大したことはない」と言う。でもその耳は真っ赤だ。彼はツンデレキャラなのだろう。
< 15 / 35 >

この作品をシェア

pagetop